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歌川国芳『金龍山おくやまの景』
版元:海老屋林之助 弘化4年(1847)

弘化4年4月に浅草奥山で、当時人気の手妻師(手品師)柳川豊後大掾と二代目柳川一蝶斎の見世物興行の引札(ひきふだ、宣伝チラシ)を兼ねた役者見立て絵と思われる。贔屓(ひいき)から送られた二人の名が書かれた幟が立ち、奥の看板には扇子や傘を使った手妻(マジック)や、大蛸や狸が飛び出す大掛かりな仕掛けが描かれている。水茶屋「武蔵屋」の壁には狂歌の短冊が掛けられる。その縁台に腰掛けて扇をつかうのは、八代目市川團十郎。荒磯(龍門の鯉魚)模様の浴衣を着る。また提灯には国芳の「芳桐印」と門下の芳基、芳貞、芳員などの絵師の名が見える。足元で戯れる鳩は昔から浅草につきものである。

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